[レポート] Odoo Experience 2019 – 2日目のKeynote #ERP #CRM
Bonjour! ベルギーの伊藤です。
オープンソースのERP/CRMソフトウェア、Odooのイベント、Odoo Experience 2019 の2日目です。
2日目は再びCEOのFabien Pinckaers氏 (Odoo) による Keynote - "Vision & Strategy" から始まりました。YouTube配信はこちらです。
レポート
Odooのビジネス
企業・サービス概要
- 4.8M ユーザ
- 20,000 コミュニティモジュール
- ベルギー発の企業
- 社員数: 700人
- パートナー数: 2580 (メキシコが最大、続けてUSA、サウジアラビア、フランス、ベルギー、ヨーロッパの国々...)
ビジネスモデルの変遷
オープンソースで始めたため、安定したビジネスモデルに到達するまで難しかった。
- 2014年時点ではキャッシュ約800万€
- デベロッパーをたくさん雇用し始め、キャッシュが減り、2015年でキャッシュが残り2ヶ月分に
- 当時ビジネスモデルを整え、Odoo 9をリリースし、そこからキャッシュフローが安定
- その後、再び成長の流れに
ビジネスモデルをアプリのライセンスをCommunityとEnterpriseによって構成。
- Odoo Community: オープンソース LGPL。無料で広くユーザ獲得。
- Odoo Enterprise: Odoo Communityに加えて、Enterprise Edition ライセンス。有料で収益化。
Enterpriseの売上によってCommunityに投資 & オープンソースのユーザによってブランドを改善。このビジネスモデルの導入後、企業が大きく成長。
機能ごとではなく、アプリごとでCommunity/Enterpriseを分ける。その判断基準は:
- 80%をCommunity(広く使えるもの), 20%をEnterprise(ニッチなもの)を目安にバランスを取っている
- 例えば、eLearningは大学含め広く利用チャンスがあるためCommunity、Field Serviceはユニークで狭い業界、機能面でも業界的に遅れがちなのでEnterpriseとしている
Odoo のコミュニティ
Odoo の社員700人に対し、公式アプリが529個。一方、パートナーの社員20,000人に対し、コミュニティアプリは20,800個!!
しかし、市場では1%以下で、まだまだできることがある。
Challenge 1: 現在の成長を続け、5年以内にOdooを扱うパートナーを 100,000 人に増やす
- Scale-UP Game: ビジネスカードゲーム、教育機関に無償提供
- パートナー向けの Odoo Implementation Methodology
- 要望に応じて、OdooからProject Managerを斡旋
Challenge 2: ユーザ要望を満たすため、パートナーの質を維持しながら、パートナーネットワークを広げる
パートナー学習プログラムの利用を簡単にしつつ、パートナーレベルに応じて下記の観点でパートナーを厳しく評価する。
- 経験: 販売ライセンス数
- コンピテンシー: 資格数
- 顧客満足: ライセンスの更新率
Challenge 3: 急速に成長しつつ、ユーザを置き去りにしない
複雑さでユーザを置き去りにするのでなく、アップグレードをスムーズにする。
- Odoo Online (SaaSバージョン)
- 段階リリースで毎週新しい機能
- Odoo.sh & Enterprise
- 毎年のメジャーバージョンリリース(これまで通り)
- マイナーアップグレードやサポートを保証する"グローバルメンテナンス"を提供(これまでは、各マイナーの適用していくと累計で初期費用に比べかなりお金がかかってしまっていた)
Challenge 4: 急速にイノベーションを続け、企業の成長を助けるため可能性を広げる
R&Dに投資し続け、企業の問題を調査する。
Odoo 13のリリース
セッション当日(2019/10/3)にリリースされました!詳しくは昨日のキーノートから。
v13の利用方法
- 既存ユーザ
- Odoo Online: アップグレードはオプトインで、今後利用可能に。
- Odoo Enterprise: ココからDBをアップロード
- 新規ユーザ
Odoo Tours
コミュニティを拡大するため、イベント開催を続ける。
- Odoo 12では、80カ国、227のイベントを開催し、合計121,000人が参加
- Odoo 13では、1年で400都市へ
- 全体、会計、マーケティング、HR、製造の異なる5つの会を用意
まとめ
CEOによるOdooのビジネスの変遷やビジネスモデル、そしてOdooのコミュニティに関して説明されました。多くのアプリがオープンソースで無料で使い始めることができながら、数多くのアプリが存在し連携して使用することができます。
マネタイズのビジネスモデルとそれによる成長の変遷が聞けて、興味深かったです。
Keynoteに続けて、オランダのITコンサルティングファーム Quintによるカスタマーストーリーがありました。当時Odooは有名な製品ではなくSAP等と機能比較された中で、Odooを使わない理由がないということで取り入れ、入力や処理が効率的になりいかに時間を節約できたか、すべてが統合されて管理できるようになったかが話されました。
私は現在Accountingアプリのみを利用し始めているのですが、実際に導入している企業やパートナーの話を聞くと、他のアプリもいろいろ試してみたいと思いました。
またレポートを続けます、Salut!